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この言葉もよく耳にしますね。MRとMS。Mr.は未婚既婚関係なく男性,Ms.は未婚
既婚関係なく女性です。・・・嘘です。いや,本当ですが,・・・今日のテーマはそこ
ではありません。
MRは製薬企業の営業担当者で英語名「メディカル・レプレゼンタティブ(Medical
Representative)」の略で,医薬情報担当者のことです。これに対してMSは医薬品卸
会社の営業担当者で「マーケティング・スペシャリスト」の略です。
<さらに詳しく MR>
MRの業務は,自社の医薬品の品質・有効性・安全性などの情報を医師などに提供し,
医薬品の適正使用を促すと同時に,自社製品が他社の製品よりもいかに優れているか,
効果や効能を詳しく説明することです。つまり自社製品の専門的な知識が必要となりま
す。医師などはこれらの情報を参考に,医薬品の購入を決めるため,MRの説明が購入を
左右することにもなります。MRは直接,大学病院の医局等を訪問して,自社製品の説明
を行っていましたが,最近では医局等への出入りを禁止しているところもあります。
「MRの行動基準」は日本製薬工業界の医療用医薬品プロモーションコードに規定され
ています。具体的には①自社製品の添付文書に関する知識はもとより,その根拠となる
医学的・薬学的知識の習得に努め,それを正しく提供できる能力を養う②企業が定める
内容と方法に従ってプロモーションを行う③効能・効果,用法・用量等の情報は,医薬
品としての承認を受けた範囲内のものを,有効性と安全性に偏りなく公平に提供する④
他社及び他品を誹謗・中傷しない⑤医薬品の適正使用に影響を与えるおそれのある金銭
類を医療機関等に提供しない⑥医療機関等を訪問する際は,当該医療機関等が定める規
律を守り秩序ある行動をする-などとなっています。
MRは以前,プロパーと呼称されていましたが,1993年の製薬協の決定によって,MR
と呼ばれるようになりました。1997年にはMRの医療知識の向上を図るため,「MR認
定試験制度」が導入されました。
製薬企業に所属するMR数は,厚労省の「医薬品産業実態調査報告書」によると,
2022年度は34,249人(集計企業数313社)で,医薬品関係企業従事者(140,296人)
の約24%を占めています。
<さらに詳しく MS>
一方,MSの業務は,製薬企業から仕入れた医薬品・医療材料,医療機器などを医療
機関や調剤薬局に安定的に供給するとともに,医薬品の効能・効果,医療制度に関する
情報提供などを行います。あわせて,医療機関などに供給した医薬品の副作用等の情報
を収集して,製薬企業にフィードバックする役割も担っています。MRは自社の医薬品
情報を提供がメインですが,MSは複数の医薬品を扱うため,幅広い知識が必要になり
ます。
MSは医薬品流通に大きな欠かせない業務で,日本医薬品卸売業連合会の「医薬卸連
ガイド」によると,医薬品卸販売会社は,①品質や有効性・安全性の確保②安全かつ安
定的供給③多種多様性への対応④専門的知識・能力⑤医薬品情報の収集・提供-に留意
しながら業務を行うことになっています。
医薬品卸販売会社に所属するMS数は,厚労省「医薬品産業実態調査報告書」による
と,2022年度は14,399人(集計企業数99社)で,全従事者(72,282人)の約20%
を占めています。