A:
社会保険診療報酬支払基金(支払基金)も国保連合会も診療報酬の審査・支払い機関
という機能は同じです。
支払基金の根拠法は健康保険法および社会保険診療報酬支払基金法で,健康保険組合
や協会けんぽなどの被保険者に関して医療機関から提出されたレセプトを審査し,その
結果,問題がなければ保険者から預かっている資金から医療機関に診療報酬を支払いま
す。審査件数は年間で約6億6000万件にも及びます。支払基金は東京に本部を置き,各
都道府県に支払基金支部が置かれています。支払基金の理事は保険者,被保険者,診療
担当者,公益から各4人ずつ選任され,理事長は理事の互選で選出されます。
支払基金の審査業務は,健保組合などからレセプト1枚あたりの手数料で成り立って
おり,健保組合連合会など被用者保険サイドからは,レセプト審査の結果(減額査定)
に対して厳しい目が向けられています。
国保連合会の根拠法は国民健康保険法で,都道府県単位で設置され,個々に独立した
組織です。各都道府県の市町村国保の首長(市町村長)が理事を務め,市町村国保によ
って設立された共同体と位置づけられます。市町村国保の被保険者に関するレセプトを
審査(年間取扱い件数は医科,歯科合わせて約6億6000万件)して,医療機関に診療報
酬を支払うという機能は支払基金と同じですが,支払基金との違いは,国保連合会は,
国保保険者の事務を代行するほか,被保険者に対する保健事業などの機能も持っている
ことです。
ちなみに,47の国保連合会を会員として構成される国保中央会は,国保連合会の中
央組織とみられていますが,1984年の健保法改正で導入された高額レセプトの特別審
査(中央審査)を行う機関として初めて法律に明記されました。
審査支払機能に限ると,支払基金も国保連合会も同じで,行政改革や事業仕分けなど
では審査支払機関の一本化が俎上に上がっています。また,最近は支払基金と国保連合
会の審査格差を是正すべきという意見が強く出されています。