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「レセプト」。
この業界にいると,幾度となく耳にしますよね。
レセプトとは,医療機関が,社会保険診療報酬支払基金(支払基金),国民健康保険
連合会(国保連)に診療報酬を請求する際の明細書のことです。正式名称は診療報酬請
求明細書。健康保険組合や協会けんぽなど被用者保険に加入している被保険者が医療機
関を受診した場合,医療機関はその患者の診療報酬を各都道府県の社会保険診療報酬支
払基金支部に,国民健康保険の被保険者や後期高齢者の場合は都道府県国保連にレセプ
ト(現在ではほとんどが電子レセプトです)を提出します。
支払基金,国保連を総じて審査支払機関といいますが,審査支払機関は医療機関等か
ら提出されたレセプトについて,審査委員会でレセプトの記載内容に誤りがないか,診
療報酬算定ルール・医薬品の価格などをチェックします。これをレセプト審査と言いま
す。
医療機関から提出されたレセプトは,事務点検後,審査委員会にかけられます。審査
委員会は学識経験者・保険者代表・診療担当代表の委員で構成され,合議によって最終
判断します。
審査委員会の審査結果を経て,診療月の翌々月の21日までに医療機関が指定する銀行
口座に請求額が振り込まれますが,審査の結果,誤りが見つかればその分は減額(減額
査定)されて支払われます。
ちなみに,超高額レセプト(医科:38万点(特定機能病院及び臨床研究中核病院にあっ
ては35万点,心・脈管に係る手術を含む診療分については70万点)以上,または同種死
体肺移植術,生体部分肺移植術,同種心移植術,同種心肺移植術,生体部分肝移植術及
び同種死体肝移植術に係る手術を含むレセプト,歯科:20万点以上)は,社会保険診療
報酬支払基金本部,国民健康保険中央会の「特別審査委員会」で審査しています。
審査支払機関は,審査を終えたレセプトを健保組合や市町村などの保険者に送付しま
す。保険者は送付されレセプトについて,被保険者資格や診療内容などを確認します。
これをレセプト点検といいます。レセプト点検は保険者自ら実施している場合と,外部
の点検業者に委託する場合がありますが,レセプト点検でレセプトに記載されている患
者に被保険者資格(資格点検)がないことが判明したり,診療内容の誤り(内容点検)
を発見した場合に,審査支払機関に再審査を請求します。再審査の申請期限はレセプト
が届いてから6カ月以内となっていますが,6カ月超のレセプトに関する再審査請求も
行われています。
一方,医療機関もレセプト審査の結果,請求額が減額された場合など,審査支払機関
に対して再審査を請求することができます。
なお,再々審査請求は認められていません。