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療養担当規則の正式名は「保険医療機関及び保険医療養担当規則」です。保険医療機
関や保険医が保険診療を行う上で守らなければならない基本的な規則で,健康保健法の
規定に基づき厚生労働省令で定められています。療養担当規則は,「保険医療機関の療
養担当」「保険医の診療方針等」で構成され,保険診療上の禁止規定や保険医療機関,
保険医の遵守規定などを示しています。保険診療上,新たな問題が発生した場合は,診
療報酬改定と併せて療養担当規則も改正されます。
<さらにくわしく>
療養担当規則は,さらに縮めて「療担規則」と言います。まず,「保険医療機関の療
養担当」では,健康保険等の給付の範囲として①診察②薬剤又は治療材料の支給③処置,
手術その他の治療④居宅における療養上の管理及びその療養に伴う世話その他の看護⑤
病院又は診療所への入院及びその療養に伴う世話その他の看護-と定め,これが診療報
酬点数表の根拠になっています。このほか,診療報酬の適正請求や,患者に処方箋を交
付する際に,特定の保険薬局への誘導禁止,患者が受診する際の被保険者証の確認(受
給資格の確認),一部負担金等の受領(負担額の値引き禁止),領収証の無償交付,入
院の場合の寝具等を完備,完全看護(医療機関の従事者以外の看護の禁止)などを規定
しています。
「保険医の診療方針等」では,「一般に医師又は歯科医師として診療の必要があると
認められる疾病又は負傷に対して,適確な診断をもととし,患者の健康の保持増進上妥
当適切に行わなければならない」との基本姿勢を示しています。また,「保険医は,厚
生労働大臣の定める医薬品以外の薬物を患者に施用し,又は処方してはならない」とし
て,保険診療での使用薬剤は薬価基準収載品目に限定されています。ただし,医薬・医
療器機等法で規定している治験で使用した薬物その他厚労大臣が指定する場合は対象外
としています。
保険医の診療の具体的方針については,①診察②投薬③処方箋の交付④注射⑤手術及
び処置⑥リハビリテーション⑦入院-について,保険医としての遵守事項を示していま
す。特に,投薬に関しては,「治療上1剤で足りる場合は1剤,必要がある場合は2剤
以上」「患者に後発医薬品を選択する機会を提供する」「投与量は,予見することがで
きる必要期間に限ったものでなければならない」など,基本方針を示しています。
なお,保険医療機関,保険医双方に患者に対して「懇切丁寧」な対応を求めています。