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正式には「新薬創出・適応外薬解消等促進加算」です。この加算制度は、革新的な
新薬の開発や、医薬品の効能として承認されている疾患が、他の疾患への効能として
認められていない適応外薬の開発を目的として、薬価改定時に、後発医薬品のない新
薬を対象として一定率まで薬価を加算するもので、2010年4月の薬価制度改正で試行
的に導入されました。新薬創出等加算の対象になった医薬品は実質的に薬価が維持さ
れることになりますが、後発医薬品が上市された後は、それまでの加算分を含めて薬
価が引き下げられます。後発医薬品が上市されない場合でも、薬価基準収載後15年を
経過すると、薬価は加算分を合わせて引き下げられます。先日2024年度薬価改定が
告示され、併せて対象363成分、623品目が公表されました。
<さらにくわしく>
新薬創出加算は、海外では使用されている医薬品が日本国内で承認されるように
なるまでの時間差(ドラッグラグ)を短縮する一環で導入されました。薬価は2年に
1回実施される(本制度施行当初)薬価調査で、実際に取引される価格(実勢価格)
をもとに引き下げられるため、製薬企業は特許期間中の医薬品の薬価維持を要請して
きた経緯があります。この問題とあわせてドッラグラグの改善、「革新的な新薬の創
出」を目的として、新薬創出加算が導入されました。現在薬価改定は中間年でも行わ
れており毎年となっており、また加算対象品においても薬価を維持する品目と維持し
ない品目が登場(乖離率との比較による),製品開発にあって企業要件も規定される
など,変遷があります。
加算額は、平均乖離率以内だと
「実勢価格に基づく算定値×(薬価基準収載全品目の平均乖離率-2%)×0.8」
で算出され,平均乖離率を超えると
「実勢価格に基づく算定値×(薬価基準収載全品目の平均乖離率-2%)×0.5」
となり、またいずれの場合も薬価改定前の薬価を超えることはできません。
加算対象の医薬品は、後発医薬品が上市された後の薬価改定もしくは薬価基準収載
から15年を経過した後の薬価改定で、それまでの期間の加算分と、市場実勢価格に
よる引き下げ分、特例引き下げ分を合わせて引き下げられます。
新薬創出加算の対象となる医薬品を製造販売する製薬企業は、厚生労働省の「医
療上の必要性の高い未承認薬・適応外薬検討会議」の検討結果を受けて、厚労省が
要請する適応外薬の開発、「真に医療の質に貢献する医薬品」の開発を実行するこ
とが義務付けられ、過去5年間の品目数や実施数を見られることとなりました。
対象製薬企業にとって加算期間中は、研究開発費を早期に回収し、新薬開発に投資
するというメリットがありますが、それに伴う期待と責任もより増した、と言える
でしょう。
厚労省の資料によれば、2024年4月の薬価改定では、収載15年超、後発品の登場
のほか、企業要件を満たさないといった理由で77成分149品が加算対象から除外(控
除)されたとのことです。