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医療用医薬品の添付文書を見ると、注意すべき規制区分として「毒薬」や「劇薬」と
いう記号が書かれている品目があります。ま、字面から言っても、ひと目で「こりゃ注
意すべき品目なのだな」とわかるわけですが、この違いは何でしょう?
「毒薬」及び「劇薬」とは、内服や注射をした時など体内に吸収された場合に、副作
用などの危害を起こしやすい、毒性・劇性の強い「医薬品」のことです。厚生労働大臣
が薬機法に基づいて指定します。
また、その効力・・・と言いますか威力ですが、毒薬は劇薬よりも毒性が強く、おお
よそ10倍の差があります。
これだけ危険性の高い医薬品ですから、容器やパッケージの表示についても薬機法で
規定されています(「毒薬」には黒地に白枠、白文字でその品名および「毒」と、「劇
薬」には白地に赤枠、赤字でその品名および「劇」と表示)。
また、保管や取扱いにも厳密なルールがあり、病院や薬局では、毒薬・劇薬は他のも
のと区別して貯蔵・陳列しなければなりません。さらに毒薬は専用の施錠のできる保管
庫に貯蔵・陳列しなければなりません。また薬局が一般の人に毒薬・劇薬を販売・交付
する際には、「年月日・品名・数量・使用目的・購入する人の住所・氏名・職業」等を
記入し、かつ「購入する人の署名又は記名押印」の揃った書類の提出が必要となります。
この書類は、販売した日から2年間保管しなければなりません。
ちなみに、似たようなカテゴリーに「毒物」と「劇物」があります。
さて、その違いはなんでしょう?
「毒物」と「劇物」も、毒薬・劇薬と同じく、毒性・劇性の強い物質のことですが、
医薬品・医薬部外品に該当しないものを対象としており、製造、輸入、販売、取扱など
の規制を行うことを目的に定められています。こちらは毒物及び劇物取締法(毒劇法)
で規制されています。