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Q:抗菌薬と抗生物質ってどんな薬? 違いはあるの?

2024年6月20日

A:
 「抗菌薬」「抗生物質」。よく聞きますよね。「あ、わたし、同じ意味で使ってた」
という人もいるかもしれません。というわけで、今回は「抗菌薬」と「抗生物質」がど
んな医薬品で、どう違うのか(違わないのか?)の解説です。

 この二つに共通すること。
 それは「人の体内に細菌や病原微生物が入って病気になる・・・この“人の体内に入
ってしまった細菌や病原微生物を殺す作用を持つもの”だということ」です。
 そして、このうち「微生物が作った化学物質」のことを「抗生物質」と呼びます

 例えば、世界初の抗生物質として名高いペニシリン。このペニシリンは「青カビ」か
ら発見された(つまり青カビという微生物がつくった)化学物質です。よって「抗生物
質」です。

 一方、技術開発の進歩により、人類は病原微生物に対抗するための化学物質を人工的
に創り出すことができるようになりました。これらは人工合成によって作られた病原微
生物に対抗する化学物質ですので、厳密に言うと「微生物が作った」化学物質(抗生物
質)ではありません。そこで登場するのが「抗菌薬」というカテゴリーです。

 「・・・というカテゴリーです」という回りくどい言い方をしているのには理由があ
ります。というのも、現在では抗生物質を含めて抗菌薬と総称することも多く、抗菌薬
という大枠の中に抗生物質という一群がある
というイメージになっているからです。
 「人工合成⇒抗菌薬」「微生物由来⇒抗生物質」なら話は簡単なのですが、そういう
ことでもないのです。
 ですので、冒頭で書いた「あ、わたし、同じ意味で使ってた」というのは、決して間
違いではなく、むしろ正しいとも言えるわけです。

 ちなみに、皆さんも、抗生物質のグループとしてアミノグリコシド系とかテトラサイ
クリン系、クロラムフェニコール系
と言う言葉を聞いたことがあると思いますが、これ
らの抗生物質は「天然抗菌薬」という言い方で呼ばれることもあります。ペニシリンは
この天然抗菌薬の中のβ-ラクタム系です。一方、天然系ではない例えばニューキノロ
ン系、サルファ剤系
といった抗菌薬グループは(天然に対し)「合成抗菌薬」として区
分されます。

 というわけで「抗菌薬」の中の“微生物が作った化学物質”が「抗生物質」
 ま、1行で書けるんですが、それも全部読んでいただいたからこそ、ということで。
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