医情研通信 Column & Blog

医療・医薬業界
どーせなら、覚えちゃお!
UP DATE

<どーせなら、覚えちゃお!UP DATE>
Q:診療報酬改定ってどうやって決まるの?

2023年8月17日

A:
 診療報酬改定といっても,診療報酬点数そのものと,診療報酬改定のための財源問題
を合わせてみる必要があります。

 診療報酬の改定は,医療保険医療費の増減につながるため,国の予算(医療費のほぼ
4分の1は国費)など保険財政に影響します。このため改定にあたっては,国家財政(税
収)はもちろん保険料収入の伸びのほか,医療費,医療従事者の人件費,医療機関経営,
消費者物価などの動向を勘案して,改定年度の国の予算編成の過程(12月下旬)で,厚
生労働大臣と財務大臣の折衝後,内閣が改定率を決定します。改定の必要性を判断する
上で参考になるのが前年度の医療保険医療費の動向,人事院勧告の参考資料の民間給与
実態,医療経済実態調査の結果などです。

 次に,診療報酬改定は厚生労働大臣の諮問を受けて,中央社会保険医療協議会(中医
協)で審議
しますが,実は改定後からすぐに次期改定に向けた議論がスタートします。
 中医協の組織は,診療報酬改定結果検証部会,薬価専門部会,費用対効果評価専門部
会など5部会,診療報酬基本問題小委員会と調査実施小委員会の2小委員会,慢性期入院
評価分科会,手術に係る施設基準等調査分科会,DPC評価分科会,入院医療等の調査・
評価分科会など9専門組織と薬価算定組織で構成されています。
 その年の診療報酬改定後,診療報酬基本問題小委員会,診療報酬改定結果検証部会が
次改定に向けて活動を開始し,他の専門部会,小委員会,専門組織もほぼ1年かけて次
回改定の課題について検討を進め,検討結果を中医協総会に報告し,これを受けて中医
協では9~10月頃から具体的審議がスタートします。

 その間に社会保障審議会医療保険部会・医療部会は,診療報酬改定の基本方針につい
て7月~12月にかけて審議し,12月上旬に中医協に対して基本方針を示します。この
基本方針に基づいて,中医協は新たな点数項目や重点的課題などを審議する一方,診療
報酬改定の必要性などについて厚生労働大臣に意見具申します。

 厚生労働大臣は中医協の意見などをもとに12月下旬に財務大臣と診療報酬改定率に
ついて折衝し,改定率の決定を受けて,1月に中医協に診療報酬改定の基本方針に沿った
改定内容を諮問
します。中医協は,公聴会やパブリックコメントの募集後,2月中旬ま
でに具体的点数項目を厚生労働大臣に答申します。具体的点数の設定にあたっては社会
医療診療行為別調査などを参考にします。

 厚生労働省は3月上旬に診療報酬改定の内容を官報に告示し,合わせて関係通知,診療
報酬改定Q&Aなどが示され,2024年度からは6月から新診療報酬点数表による診療が開始
されることになります。

 そんな診療報酬改定の歴史をまとめた一冊がこちら! 

診療報酬アーカイブス 1950-2014年 2016,2018年版CD-ROM付
コラム&ブログ Column 資料室 Archive 制作書籍 Books

Page Top