12月4日、大阪大学の
「阪大ワニカフェ」に行ってきました。
大阪大学が飼育するワニを愛でながらコーヒーをいただく…のではなく、
いろいろなテーマについて大学の研究者や専門家と対話をしながら考えましょう、
と
大阪大学が一般市民の皆さんに呼びかけたものです。
カフェの名前は大学の公式マスコットが「ワニ博士」であることから名づけられたのだとか。
ちなみにこの「ワニ博士」、適当に作られたマスコットではありません。
なんと大阪大学の豊中キャンパスでは、
約45万年前のワニの化石が発見されているのです。
由緒正しい
「ワニ博士」なのです。
さて、話がそれましたがこの「阪大ワニカフェ」がめざすのは、
研究者と市民が対等な立場で双方向に対話することで
参加者の価値観や認識を刺激し、変容を促し、
個人だけでなく街や社会が変わってゆくこと、とのこと。
医師による講演会はよく見かけますが、
講演会ではなく、市民とのフラットな対話をしようとするのは
大阪大学医学部附属病院としても初の試みなのだそうです。
私が参加したのは
「面白い巨塔編」と名付けられた3回シリーズの第1回目で、
(蛇足ながらあの「白い巨塔」は大阪大学医学部附属病院がモデルと言われています)
大阪大学医学部附属病院・腎臓内科診療部長の猪阪善隆先生をお招きし、
“「治療がつらい」という患者の声をどう受け止めるか?”
をテーマに開催されました。
会場となった大学の学生交流スペースには
先生を囲んで扇形に椅子が並べられ、まさに
アットホームなカフェの雰囲気。
腎臓の仕組み・働きや透析治療についてのレクチャーが終わると、
30名ほどの
男女半々、様々な年代の参加者から次々と質問が繰り出されました。
巷の医師による講演会などでは見られない光景です。
質問にとどまらず、
ご自身の病気や
身内の看取りの経験をふまえたお考えを述べられる方が相次いだことも印象的でした。
「阪大ワニカフェ」の試みは、数百人規模の講演会に比べれば決して効率的とは言えません。
とはいえ、一般の方にとって医師と診察室以外でお話しする機会はそうあることではなく、
また医師にとっても病気や治療について、
一般の方がどんなことを思っているのかを直接知る機会はなかなかありません。
今は
慢性疾患はもとより、がんですら長くお付き合いする時代です。
病気とうまく付き合っていくためにも医師と患者の間の壁を取り払い、
「提案・指示する側」「それを受ける側」という関係ではなく、
治療や日々の生活についてフランクに対話ができる関係を築くことが大切です。
「阪大ワニカフェ」のような取り組みが少しずつ広がっていくこと期待しています。
(梅)