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オーストラリアのコロナ事情

2021年1月12日

年末、オーストラリア在住の友人と久しぶりに会話をしました。
帰国するたびに何度も会っては飲み食いをしながら熱く語り合う仲なのですが、
当たり前ながらしばらくは帰国の見通しがまったく立たないということで
やむを得ずオンラインでのサシ飲みです。

ということで、オーストラリアのコロナ事情を聞いてみたところ
あちらは夏というだけあって市中の新規感染者数は国全体でも1日2桁程度
友人の住むビクトリア州にいたっては60日以上「0人」の状態が続き、
最近でも1日2,3人程度とかなり落ち着いてきているようで
冬に強いウイルスの性質を改めて実感するところです。

しかし日本国内の昨年8月1カ月間の新規感染者数が3万人超だったことを考えると、
国の様々な事情や違いを考慮してもかなりきちんとコントロールされている印象です。

ただ、そこにいたるまでにはかなり長く厳しい規制がかけられていたようで、
昨年7月の第2波の際にはビクトリア州の新規感染者数が1日700人を超えたため2度目のロックダウン
「夜間外出禁止令」に加え、日中でも「社会インフラに携わる方」の通勤と
「介助や世話をする必要がある方」以外の外出は原則禁止となったほか、
市民は「生活必需品の買い出し」「1日1回、1時間までの運動」のみでしか
外出できない状態が約2カ月間続いたそうです。
さらに「生活必需品の買い出し」については
「1日1回、1世帯につき1人まで。移動範囲は半径5km以内」
細かい規定がなされていたということで、さすがに驚きました。

それをどのように取り締まっていたのか疑問ではありますが、
上記に違反した場合には日本円で約13万円の罰金が科せられ
マスク着用義務を守らなかった人についても16,000円ほどの罰金が科せられるということで、
一時は戦々恐々とした雰囲気が流れたということでした。

ただし、それによって休業せざるをえなくなった企業や労働者への補償は
手厚いものだったそうで、補償額についても少しずつ減額はされてきているものの
今年3月までは継続されることが決まっているようです。
むしろ「ちょっと羨ましい」といった声すら…。

その後は厳しい目標値の下、段階的に規制のステージが下げられ
11月末にはようやくすべての規制が解除されたとのことで
現在は「お店など室内に入るときはマスクをしましょう」といったルール(罰則なし)が
あるのみということです。

当然、強硬な姿勢を示した州知事に対する批判は相当大きいものだったそうで
友人もあの軟禁状態だった日々を考えると、次の冬が怖いなどと言っていましたが
感染症の拡大阻止の観点だけで考えるならば「そこまですると、ここまで減る!」という
一例として興味深いと思いました。

さて、日本では年明け早々、1都3県で2度目の緊急事態宣言が出され
波乱の幕開けとなっています。こちらはこちらで色々と思うことはありますが、
まずは自分や家族の健康に気を配りつつ、しばらくは息をひそめて暮らしていこうと思います。

新型コロナウイルス特別措置法改正案についての議論にも
今後は注視していきたいところです。

(あ)
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