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ケミカルコーピングと偽依存

2020年7月14日

先週金曜日,弊社発行『新薬と臨牀』の7月号が発売されました。
7月号でも多くの原著論文と編集部企画の連載記事が掲載されています
https://www.iyaku.info/magazine/?id=1594341089-643373&sf=1&ca=2020&ca2=7&ca3=69&ca4=7>)。

今回でVol.24を迎えた編集部企画の連載の1つ “がんサポーティブケアのいま・これから” では,
獨協医科大学医学部 麻酔科学講座山口重樹先生
「ケミカルコーピングと偽依存の鑑別および対処法」について,ご執筆をいただいています。
すでにご存知の方も多いと思いますが,「ケミカルコーピング(chemical coping)」とは,
がん患者さんが本来疼痛緩和を目的に用いるべきオピオイド鎮痛薬(医療用麻薬)を,
精神的な苦痛(治療や将来への不安など)を取り除くため不適切に使用することで,
オピオイド鎮痛薬の依存に陥ってしまう前段階の状態です。
実際にがんと診断された患者さん,治療中の患者さんは,死への恐怖や,辛い治療,
治療後も再発への不安といったさまざまな精神的ストレスを感じていることと思います。
かと言って,医療者が安易に患者さんの要望に応え,オピオイド鎮痛薬を処方してしまえば,
最終的に患者さん自身が不利益を被ることとなってしまいます。

一方の「偽依存」とは,その字が示すとおり実際には依存ではなく,
本来の目的(除痛)でオピオイド鎮痛薬を欲しているものの,
依存症と誤って診断されてしまう状態です。
「痛みがひどいので医療者にお願いしているけれど処方してもらえない」となれば,
患者さんは医療者に不信感を抱いてしまい,治療がうまく進まないこともあるかもしれません。

日本人の2人に1人は罹患するとされている“がん”。
2019年のがん統計予測では,がんに罹患する人は約1,017,200人とされています
https://ganjoho.jp/reg_stat/statistics/stat/short_pred.html)。
現在では医療技術の向上や新薬の登場により,がんサバイバーもさらに増加傾向にあります。

ケミカルコーピングと偽依存の鑑別・対処法は,
今後のがん治療,支持療法・緩和医療において重要なテーマの1つです。

本稿では,患者さんがオピオイド鎮痛薬を本当に疼痛緩和を目的として要望しているのか,
痛みではなく,精神的な苦痛(不安等)を取り除くために要望しているのかを
見極めるポイントなどについて,実際の症例を提示していただき,ご執筆いただいております。

興味のある方は,ぜひご一読ください。

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