減量は,体にとっては飢餓状態です。
飢餓状態には,ざっくり2段階あって,
最初の4~5日間とそれ以降にわけられます。
--まず,最初の4~5日間--
外からエネルギーが入ってこなくなると,
体はとりあえず,身近にある使えそうな貯蔵エネルギーを利用してしのごうとします。
そこでまずは肝臓が,肝臓内にあるグリコーゲンを取り崩してグルコースを作ります。
しかしこれは数時間で枯渇。
それではと,筋肉や赤血球,白血球が乳酸やピルビン酸を提供し,これらを使って肝臓がグルコースを作ります。
しかしこれでも全然足りない。
そこで,筋肉が身を削って自身のタンパク質をアミノ酸に分解し,肝臓がこのアミノ酸からグルコースを作ります。
最初の数日はこれでしのぎます。
--そして,それ以降--
それでも飢餓状態がつづくと,体は,
こりゃまずい,このまま筋肉を削るわけにはいかない
と,方針転換を開始します。
グルコースを作るのはもう無理じゃね,とばかりに,
エネルギー源をグルコースに頼るのをやめます。
そこで活躍するのが脂肪細胞です。
脂肪細胞はたっぷり貯め込んである脂肪(トリグリセリド)を分解して脂肪酸をつくり,放出します。
これまでグルコースを使ってエネルギーを作っていた細胞たちも,
こんな時代だから仕方ないよね
とばかりに,脂肪酸を使ってエネルギーを作るようになります。
また,肝臓ではその過程でケトン体もついでに作り,放出。
グルコースが大好物だった脳も,
ケトン体を使ってエネルギーを作るようになります。
そうすると,脂肪がぐんぐん燃える。
よく,『ケトン体質になろう』とか『ケトジェニックダイエット』というのは,このことですね。
日頃,飢餓状態になることが少ない我々は,
3食きちんと糖質を摂り,ケトン体に頼るまでにはならないので,
ケトン体をうまく使うことができません。
やったことがない人も多いと言っても過言ではない。
なので,ケトン体を上手に使えるようになるまで,
2週間から2カ月くらいかかるらしいですよ。
ちなみに,ケトン体をうまく使えるようになるまで,
せっかく作られたケトン体は使われることなく排泄されるので,
尿や汗や息が臭くなります(ケトン臭)。
甘酸っぱく,果物が腐ったような臭いです。
というわけで,ダイエットを最初の5日間でやめる,
を繰り返していくと,ただただ筋肉が落ちていくという。。。
下手なダイエットならしない方がいいですね。
(さ)