ここ数年,「LGBT」という言葉を目に,耳にする機会が増えてきました。
ゆえに言わずもがな,のような気もしますが,「LGBT」とは
「レズビアン・ゲイ・バイセクシャル・トランスジェンダー」のことです。
ちなみに日本には,
人口に占めるLGBTの割合が左利きの割合とほぼ同じということを示す,
複数のデータがあることをご存じでしょうか。
自分の周りにはいないよ,という方がいらっしゃるかもしれませんが,
あえて公表していないLGBTの方はたくさんいますから,
気がついていないだけなのかもしれません。
でもその「気がついていない」ということが,
LGBTの方のさまざまなストレスにつながることがあります。
以前に比べればLGBTの方に対する理解が進んだとはいえ,
学校で,職場で,そして医療の現場においても,
LGBTの方がいる,と意識されていないがために,
LGBTの方にとっての“ストレスの種”がたくさんあるのです。
10日発刊の『新薬と臨牀』8月号では,
「医療現場における性の多様性を考える」をテーマに,
長年LGBTの方の診察にあたってこられた,
はりまメンタルクリニック院長の針間克己先生と,
LGBTの方が安心して子育てできる環境づくりをめざす団体
「にじいろかぞく」代表の小野 春さんに御原稿をご執筆いただきました。
針間先生にはLGBTについての基本的な知識や,
医療者がLGBTの方にかかわる際の原則,役割について,
小野さんには「LGBTの私が患者になって思ったこと」と題して
がんの治療中に医療現場で感じられた
さまざまな違和感,“ストレスの種”について,
楽しいイラストも交えてご執筆いただいています。
患者さんにかける言葉をほんの少し変えていただく,
「男性はこれ」,「女性はこうだよね」,
というような固定観念を見直していただくことで,
医療の現場は,LGBTの方にとってもより快適で,
身近な場になるということがおわかりいただけることと思います。
正しい知識と,少しの想像力で変えられることはたくさんあります。
LGBTの方が安心して医療を受けられるために,
医療の現場がより身近な,開かれた場となっていくことを期待したいと思います。
(梅)