医情研通信 Column & Blog

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「耳」にも思いやりを。

2019年3月5日

一昨日の日曜日は,桃の節句の雛祭り,東京マラソン,そして「耳の日」でした。
「耳の日」は,「耳(33)」の語呂合わせとともに,「3」が耳の形に似ているからだとか。

さて,そんな耳に関する衝撃的な報告が,2月中旬,世界保健機関(WHO)よりなされました。
すでにご存知の方も多いと思いますが,
なんと,全世界の若者(12~35歳)の約半数に難聴の危険性があるというものです。
全世界の若者の約半数……約11億人だそうです(https://www.who.int/news-room/detail/12-02-2019-new-who-itu-standard-aims-to-prevent-hearing-loss-among-1.1-billion-young-people)。

難聴にもさまざまな原因がありますが,今回WHOから報告されたのは,
「騒音性難聴」が主たるもののようです。
その名が示すとおり,「騒音」が原因で発症する難聴です。
騒音性難聴」は,工事現場や工場などでの,
けたたましい音が慢性的に耳に入ってくることで発症する職業病の要素がありますが,
日頃から大音量で音楽を聞くことも発症原因の1つです。
今回WHOが指摘したのは,スマートフォンや携帯音楽プレイヤーの普及により,
大音量で音楽等を聴く人,時間が増えたことによる危険性を示したもののようです。

ここで声を大にしてお伝えしたいのは,現在「騒音性難聴」に対する治療法はなく,
騒音性難聴は回復が見込めない」ということです。

あらためて,通勤時の電車内を見回すと,
多くの人がイヤホンやヘッドフォンをつけている光景を目にします。
わたしも,今回の報告を知るまでは,
家を出てから会社に着くまで(またその逆も然り),音楽を聴いていました。
そのときは,電車内での音漏れには注意をしていたのですが,
自身の耳のことにはあまり注意を払っていませんでした。
ただ,今回のような報告を聞くと,すぐに自分の生活を見直そうという素直な!? 性格のわたしは,
早速,通勤時に音楽を聴く時間を減らし,代わりに電車内での時間を読書に充てるようにしました。

音楽には,心を癒し,また気持ちを高揚させたりする効果があるので,
生活の中でなくてはならないものの1つであると思います。

ただ,「騒音性難聴」は初期段階では自覚することが難しく,かと言って,
前述のとおり,症状が進行してからでは,回復は望めません。
普段の生活環境をすぐに変えることは,なかなか難しいものですが,
音楽を聴く環境を適度に保ち,現代病となりつつある「騒音性難聴」にならないためにも,
耳を休ませる時間をつくってみてはいかがでしょうか。

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