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地球は狭くなったというけれど。

2019年2月14日

飛行機などの移動手段の発達で,
「地球は狭くなった」と言われます。
また,先日の南米最高峰アコンカグア登頂は残念ながらドクター
ストップとなってしまいましたが,冒険家・プロスキーヤーの
三浦雄一郎さんはじめとする高地へのチャレンジはよく話題に
なるところです。

でも待てよ?
高いところはよく聞くけれども,地下ってあまり聞かないなぁ。
学生の頃,地学でマントルがどうとかってやってた気がするけど…
と,(個人的に)かなりうやむやなので調べてみました。

地球はその半径約6400kmのうち,
大きく
 地殻(30-65km)
 上部・下部マントル(2885km)
 外核(2270km)
 内核(1216km)
の層があり,外核は液体,それ以外は固体と考えられています。
マントルは固体ですが,高温・高圧(最下部付近で125万気圧・2200℃)
のため延性(壊れることなく引き伸ばされる性質)があり,長い時間を
かけて流動,それに合わせて地殻が動く,というのは確かに地震発生の
メカニズムでもよく耳にします。

さらに深部では,深くなるにつれ温度と圧力が上昇し中心部では364万
気圧・5500℃という超高温高気圧の状態のようです。

後述しますが,人類が到達した人工地点は地表から12kmと地殻を抜け
られていませんが,各層の厚みや温度等は,地震波観測や隕石,地球に
存在する岩石等の性質から推測できるようです。

人類が到達した最深地点は,旧ソビエト連邦が行った,地球の地殻深部を
調べる科学プロジェクト「コラ半島超深度掘削坑」において到達した
コラ半島のペチェングスキー地区で,その深さは約12km(12,262m/1989年)。
当初は15kmを目指していたものの,想定していた地中の温度(100℃)
よりかなり高く(180℃),掘削機器への影響もあり断念したとされて
います。

コラ半島は,掘削のみの人工地点で,実際の人が降り立った最深地点で
はありません。人が降り立った最深地点は南アフリカのタウトナ鉱山で,
その深さは約3.9kmとのこと。

いずれにしても,半径から比べると,人類が到達したのはほんの表層だけ
なんですね。

個人の宇宙旅行も話題になる昨今ですが,地下はまだまだ未知なる世界と
いうことが分かりました。

ちょっと(大分?)話は飛びますが,
近年ますます新薬となりうる“シーズ”の発見が困難になっていると言われます。
将来,「地中○kmの微生物から△病の治療薬の開発に成功!」といった
話も出てくるかもしれませんね。

(参考・画像出典等)
地球の構造 - Wikipedia
世界初!地球中心部の超高圧高温状態を実現 ~ようやく手が届いた地球コア~ — SPring-8 Web Site
コラ半島超深度掘削坑 - Wikipedia
タウトナ鉱山 - Wikipedia

(わ)
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