専門紙などでは昨年から報道されていましたが,
今月5日,中外製薬の長期収載品13製品の国内における
製造販売承認と製造販売権について,
太陽ホールディングスの
子会社である太陽ファルマへの譲渡が完了したと発表されました。
13製品には,「ジゴシン」「カイトリル」や「リボトリール」が含まれます。
(詳細)
中外製薬から太陽ファルマへの長期収載品13製品の資産譲渡実行に関するお知らせ
このケースのように最近,新薬の研究・開発に資源を集中させるために,
長期収載品を譲渡する製薬企業が増えています。
同様な例としては昨年の,アステラス製薬と
LTLファーマでの譲渡があります。
アステラス製薬が日本において製造販売している長期収載品16製品について,
国内の製造販売承認等を
LTLファーマへ譲渡することとなっています。
16製品に含まれるのは,「ガスター」「セファメジンα」「サワシリン」等。
(詳細)
日本における長期収載品16製品の譲渡に関する契約を締結
いずれのケースでも,長年提供されてきて定番といったイメージのある医薬品が
譲渡されることになります。
それではそのような医薬品を譲渡される側はいったいどのような企業なのでしょうか。
以下に簡単にまとめてみました。
【太陽ファルマ】
・太陽ホールディングス株式会社100%出資の会社として,社会貢献度の向上及び世界中に
医薬品を届けたいというビジョンをもって2017年8月2日に設立。
・出資元の太陽ホールディングスはグループとして携帯電話やパソコンなどのIT機器や
デジタル家電等,あらゆるエレクトロニクス製品に利用されるプリント配線板に
欠かせないソルダーレジストで世界シェアトップクラスを誇る化学メーカー。
・しかし事業継続性の観点から新たな分野に進出する必要があり,検討の結果,
本業からは遠い業種だが医療用医薬品への投資を決定。
【LTLファーマ】
・日本長期収載品機構株式会社の子会社であり,長期収載品に特化した医薬品会社。
・日本初となる長期収載品のためのプラットフォームを構築。
・新薬開発メーカーから有効性・安全性に関わる膨大な情報と,高品質な製品を
提供する技術力を引き継ぎ,承継した医薬品で患者さんの健康と医療に貢献。
このように,元々は医療用医薬品とは関係のない企業や,
長期収載品の受け皿になろうとるす企業,また今後はより多様な企業へ
既存の長期収載品が譲渡されていくことも考えられます。
どのような企業であっても,その製品を服用している患者さんは
多数いると想像されますので,これまでと変わりない製品の安定供給や
情報提供が望まれます。
(と)