既にニュースをご覧になった方もいらっしゃるかと思いますが,
先日米国FDAで承認された
「
エビリファイ マイサイト(Abilify MyCite®)」
という製品が気になりましたので,調べてみました。
まずは大塚製薬のプレスリリースより製品の概要です。
●「
エビリファイ マイサイト」は,医薬品と医療機器を一体化して開発された
世界初のコンビネーション製品
●大塚製薬創製の抗精神病薬 エビリファイの錠剤にプロテウス社が開発した
極小センサーを組み込んだ製剤と,
パッチ型のシグナル検出器および専用アプリを
組み合わせることで,患者さんの服薬状況を記録し,スマートフォンなどの
モバイル端末を通じて医療従事者や介護者との情報共有が可能
●このシステムにより,服薬や活動の状況を把握できることで,患者さんと
介護者および医療者のコミュニケーションを促進し,それぞれの患者さんに
より適した治療の選択に寄与
更にその仕組みや実際の使い方も紹介されています。
錠剤に組み込まれた
極小センサーは,胃液に接するとシグナルを発し,
患者さんの身体に貼り付けたシグナル検出器「
マイサイト パッチ」が服薬の日時を記録します。
その後センサーは体内で消化・吸収されることなく,安全に体外に排泄されます。
「
マイサイト パッチ」は患者さんの活動量などのデータも記録し,
専用の「
マイサイト アプリ」にデータを送信します。
患者さんは「
マイサイト アプリ」で服薬状況や活動量を確認することができ,
気分や睡眠の状況を入力することも可能です。
また,患者さんが同意をすれば,家族,医療従事者,介護者もデータを確認することができます。
「
センサーが組み込まれた錠剤」と聞くと,SF映画に出てきそうな製品ですが,
実際に承認される段階になっていることに驚きです。
精神病の薬物治療では,患者さんに薬をきちんと飲み続けてもらうことが重要で,
「
エビリファイ マイサイト」は患者さんの助けになると期待されます。
それにしても,薬にもデジタル化の波が訪れていることに技術の進歩を感じます。
近年,モノのインターネット(Internet of Things, IoT)という表現が用いられ,
パソコンやスマホなどの情報通信機器に限らず,すべての「モノ」がインターネットに
つながることで生活やビジネスが変化していくとされています。
今回の「
エビリファイ マイサイト」のように,「薬」も間接的にインターネットに
つながることで「
薬のインターネット(Internet of Medicine)」と紹介している記事もあります。
https://media.fashion-balloon.com/articles/first-digital-medicine-AbilifyMyCite
今後,服薬状況の記録や共有に限らず,患者さんにとって有用な機能が
盛り込まれた「薬」が登場してくる期待が高まります。
(と)