8月30日,厚生労働省が
平成28年の結核登録者情報調査年報集計結果
を発表しました。
平成28年 結核登録者情報調査年報集計結果
日本における結核は,戦前までは
死亡率の高い疾患でしたが,
戦後は急速に低下し,1996~1997年にかけて一時増加に転じた
ものの,その後はまた低下し近隣アジアに比べるとかなり低い
水準まできています。
厚労省の資料で結核の
罹患者数をみてみると10万人当たり13.9人で,
アメリカの2.9人,カナダの4.6人(いずれも2015年)には及ばない
ものの,近隣の中国の58人,韓国の75人よりはるかに低水準と
なっています。
正岡子規,石川啄木,滝廉太郎などが亡くなった疾患で,
昔の病気
という印象でしたが,近年は減少傾向ではあるものの,国際的には
再興感染症(既知の感染症で,すでに公衆衛生上の問題とならない
程度までに患者が減少していた感染症のうち,この20年間に再び
流行し始め,患者数が増加したもの)に分類されています。
近年は,若い世代で結核に対する免疫をもたない人々が増えたことや,
診断の遅れなどによる集団感染・院内感染の増加,多剤耐性結核菌の出現
などがあり,
昔とは傾向が異なることで,減少傾向ではあるものの
依然なくならない疾患となっているようです。
胸膜炎,髄膜炎などから発症するケースもありますが,最も多い
肺結核は,初期症状は風邪に似ていることから,2週間以上風邪の
症状が改善されない場合は注意が必要です。
今年の夏は寒暖の差が激しいため体力が落ちやすく,体調管理が
難しい気候ですが,具合の悪い状態が長引く場合は早めに医療機関を
受診しましょう。
(お)