先日,大腸がんにおける分子標的治療についての勉強会に行ってきました。
冒頭では疾患についての説明があり,本編とは別に色々と考えさせられるものでした。
大腸がんは,がんのなかでもメジャーな疾患ですので,身近に大腸がんを患った人がいる
という方も少なくないのではないかと思われます。
実際に大腸がんに罹患する人は多く,日本の2012年における大腸がんの推定患者数は
男女を合計すると134,575人で,がんの部位別罹患者数では第1位なんだそうです
(性別では男性は胃がんに次いで2位,女性では乳がんに次いで2位ということでした)。
さらに2015年のがんの部位別死亡数でも大腸がんは男女の合計で第2位と
やはり上位に位置しているそうです(男性では肺がん,胃がんに続く3位,女性では1位)。
そう聞くと大変恐ろしい疾患だという印象だけが強くなってしまいがちですが,
大腸がんは決して治りにくい疾患ではなく,早期に発見し治療を行えば
“治るがん”になってきているといいます。
進行度はステージ0からⅣまでの5段階に分類され,ステージ0やⅠだと90%以上の確率で,
ステージⅢでも80%近くの方が治るといわれています。
また,大腸ポリープから大腸がんに進展するケースが大部分のため,
ポリープ段階や早期の大腸がんであれば内視鏡で低侵襲に切除可能なことから
“予防できるがん”などとも言われているとか。
となると,早期の発見と治療が大変重要であることがわかってきます。
ただ大腸がんは早期の段階では自覚症状に乏しく,しばしば発見の遅れが問題となっているようです。
予防できる疾患であり,早期に発見,治療を行えば予後もよいはずなのに,
大腸がんの死亡者数が依然多いのは,全体の罹患者数の多さゆえとはいいますが,
気付かないうちに進行してしまっているケースも多いからなのではないかと思うと
とてももったいないような気がします。
この大腸がんの早期発見を目的とした検査には便潜血検査というものがあります。
便を採取するだけの簡単な検査でありながら一定の効果はあるようですので
健康診断の項目にこの検査がある場合は,まず面倒臭がらずに受けていきたいものです。
そしてそれによって要精密検査の結果が出た方は放置せずに,しっかりと検査をしていただきたいと思います。
精密検査の1つである大腸内視鏡検査には躊躇する方も多いと聞きますが
目で確認できる疾患はなかなかなく,検査をしてみて特に問題がなければ不安が一気に解消されるという
大きなメリットもあることですので,ここは積極的に…。
また,先ほど早期の大腸がんは自覚症状に乏しいと書きましたが,
ポリープが大きくなると
便に血が混じる,便が細い気がする,便秘と下痢を繰り返す,お腹のしこり,
などといった症状が出ることもあるそうですので,
日常生活において違和感が続いている方も,やはり一度病院で受診してみるといいかもしれません。
病気にならないために健康的な生活を心がけることはとても大切なことですが,
そうは言っても病気になるときはなるものだと思います。
ですから,やはり検診・検査をきちんと受け,
疾患の早期発見,早期治療につなげていくことが私たちにできる重要なことと言えそうです。
(あ)