今月5日,沢田研二(以下ジュリー)が,デビュー50周年を迎えました。
ジュリー,といっても若い人はピンとこないでしょうし,
毎日のようにテレビで歌っていた華やかなりし頃のジュリーをご記憶の方は,
「今何やってるの?」という感じでしょうか。
もちろん,ジュリーは今も歌っています。
毎年アルバムやシングルを出して,30カ所以上の全国ツアーも敢行しています。
いろいろあって私がジュリーのライブに通うようになって丸9年が過ぎました。
最初の頃は,50代半ばを中心とする女性で埋め尽くされた会場の,
なんともいえない雰囲気に圧倒されましたが,じきに慣れました。
そんな会場を見続けていて,ここ数年変わってきたな,と思うことが3つあります。
ひとつは,車椅子の方が増えたこと。
ファンも,確実に年を重ねているということだと思います。
ふたつめは,男性客が格段に増えたこと。
2012年以降,ジュリーは毎年3月11日に,東日本大震災の被災地への
祈りと脱原発を主なテーマにした4曲入りのシングルを出しています。
政治的な歌も増えたためか,昔からのファンの中には
離れていってしまった人もいると聞きますが,
代わりに団塊世代とおぼしき男性客が確実に増えました。
外野の声に屈することなく歌い続けるジュリーへの,
かつて拳を振り上げたものの夢破れ挫折した(?)方々からのエール,
と勝手に受け止めています。
そして3つめ。
これが私にとっては一番印象的なのですが,
ライブ中にトイレに立つ女性が確実に減ったことです。
ライブ中にトイレ?と思われるかもしれませんが,
私がジュリーのライブに通い始めた頃,一番驚いたのは,
トイレのために途中で席を立つ人の多さでした。
特にアンコール前の数分が勝負らしく,
ジュリーが舞台袖に消えるか消えないかのタイミングで,
大挙してトイレに駆けていくのです。
もちろん,全員がアンコールまでに戻ってこられるはずがなく,
あるときなどは,ジュリーが出てきたというのに一列目の人がほとんどいない,
ということもありました。
年とともにトイレが近くなる,と聞いてはいましたが,まさかここまでとは。
いずれ自分もそうなるのかと,なんとも暗い気持ちになったものでした。
ところが。
ここ数年,途中でトイレに立つ人が,めっきり少なくなったのです。
アンコール前の大移動も,ゼロではないものの,気にならない程度になりました。
これは一体どういうことかと考えたときに,ふと思い出したのが,
一時期頻繁に流れていた「お医者さんに相談してみませんか?」
という過活動膀胱についてのテレビCMです。
時期的にもちょうど重なります。
まさかあのCMで,ジュリーファンが大挙してトイレではなく病院に駆け込んだ,
とは思いませんが,少しは影響があったのではないかと思います。
遠近両用コンタクトレンズの登場同様,さまざまな“衰え”と
うまくつきあっていくための選択肢が増えているということが感じられて,
単純に喜んでいるのは私だけでしょうか。
さて,7月からはジュリーの60カ所を超える全国ツアーが始まります。
50周年にちなんで,普段はあまり歌わない過去のヒット曲を50曲歌う予定とのこと。
時々「でも今のジュリーって激太りしてるんでしょ?」とおっしゃる方がいますが,
そこは腐っても鯛,太ってもジュリーです。
ぜひご自身の目と耳で,ナマのジュリーを体験してください。
(梅)