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最近、あまり目にすることはなくなりましたが、医療費の動向を見る上で、重要な指
標と位置付けられています。医療費に関する報道で取り上げられる1人当たり医療費は、
1人当たり件数×1件当たり日数×1日当たり医療費で算出されます。
この「1人当たり件数」「1件当たり日数」「1日当たり医療費」を3要素と言います。
<さらに詳しく>
1人当たり件数とは、件数(患者1人につき1つの医療機関で毎月1枚作成されるレセプ
トの枚数)を人数で割ったもので、「受診率」とも呼ばれます。医療保険の加入者が一定
期間にいくつの医療機関を受診したかの指標となります。受診件数の多寡をもとに健康度
を判断する目安となります。
個々の医療保険や地域で全国平均に比べて受診率が高いということは、医療機関を受診す
る人が多いということになり、各医療保険の被保険者の年齢構成や地域の疾病構造が受診
率に影響します。例えば、高齢になると複数の疾病を抱えるので、加入者の年齢構成が高
いと受診率は高くなり、年齢構成が比較的若くてもインフルエンザなどの感染症が流行す
ると受診率は高くなります。
1件当たり日数は、診療日数を件数(レセプト枚数)で割ったもので、1疾病の治療の
ために同一の医療機関を何日受診したか(または何日入院したか)を表します。症状に対
する日数から症状の程度を判断する目安となります。
1件当たり日数は、急性期疾患の場合は比較的短く、慢性疾患の場合は長くなります。
大学病院のように急性期疾患に対応する医療機関の入院期間は短く、療養型病院など慢性
期疾患に対応する病院の入院期間は長くなります。
1日当たり医療費は、医療費を診療実日数で割ったもので、医療費の単価を表します。
症状に対する医療費から症状の程度を判断する目安となります。高額薬剤の使用の有無な
ど、医療機関の診療行為による要因に依存し、診療報酬改定の結果にも影響を受けます。
このように医療費の伸びをみるときに、「受診率」が高い場合は、その地域が受診し
やすい環境(医療施設数)にあるかどうか、複数の疾病を抱える高齢者が多いかなどの
ほかに、その時期に感染症が流行したのかどうか、「1件当たり日数」が多い場合は、
急性期疾患・慢性期疾患など疾病構造や加入者の年齢構成などの要因をみる必要があり
ます。「1日当たり医療費」は診療報酬改定の影響を受けますが、2年に1度の診療報
酬改定の改定率は平均値であり、実際の点数配分によって個々の「1日当たり医療費」
への影響は異なります。このように、医療費を3要素別にみると、医療費増加の要因を
ある程度分析することができます。
ち、な、み、に。
野球のトリプルスリーの3要素は、打率「3割」・本塁打「30本」・盗塁「30個」です⚾