A:
はじめに,医薬品卸売販売業の主なポイント。
・医薬品医療機器法で定められた医薬品の販売業態ひとつ
・医薬品を薬局や病院など医療機関に対して販売する業務
・原則としてすべての医薬品を扱える
・一般の消費者(生活者)に対しての直接の販売は行えない
医薬品卸には全国展開している
卸(全国卸)と,一定の地域で
卸業を展開しているいわゆる
地場卸(地域卸)があります。
・・・が,ここでは全国展開している医薬品卸のいわゆる大手4社を
「
五十音順」に紹介してみます。
Ⅰ.
アルフレッサ 株式会社(本社:東京都千代田区)。
営業地域は,北海道,関東,中部,近畿,九州で,従業員6080人
(2022年3月末現在)を擁しています。2004年10月に,福神株式会社,
株式会社アズウェル,株式会社大正堂の3社を事業分野別に再編し,
卸売事業のアルフレッサ株式会社と製造事業の
アルフレッサファーマ
株式会社が設立されました。
全国9カ所の物流センターを拠点とし,災害時などにも医薬品の
安定供給体制を維持できるようネットワークを構築しています。
ちなみにアルフレッサ(Alfresa)の社名の由来は,ALL(すべての人)+
FRESH(いきいきとした)を合わせたネーミングとのこと。
Ⅱ.
株式会社スズケン(本社:名古屋市)。
北海道から沖縄まで47都道府県を営業地域(一部地域は子会社が管轄)
としており,医薬品流通のリーディングカンパニーと位置付けられます。
従業員は3232人(2023年3月末)。
創業は1932年(昭和7年),1953年に三和化学研究所を設立し医薬品
製造事業を開始,1959年(昭和34年)に東京支店を開設し,その後,
地場卸の株式を取得するなどして営業地域を拡大させ,2006年10月に
全国展開を達成しました。
関連会社・グループ会社は37社にものぼります。
社名の「スズケン」は,創業者の「鈴木謙三」氏がお得意様から「
鈴謙さん」
と呼ばれていたことから,1964年に改名。
Ⅲ.
東邦薬品株式会社(本社:東京都世田谷区)。
北海道・東北,北関東甲信越,首都圏,東海・北陸,関西,中国,四国,九州を
営業地域としています。
1948年に創業,2009年4月に医薬品卸売り事業と調剤薬局事業を子会社に
分割譲渡して持株会社制(ホールディングス)に移行し,商号を東邦薬品から
東邦ホールディングスに変更しました。東邦薬品は,医薬品卸事業の会社として
2008年11月に設立されました。
東邦ホールディングスを核とした共創未来グループは,医療・健康・介護分野に
携わる企業集団を形成し,
医薬品卸業以外のサービスも提供しています。
Ⅳ.
株式会社メディセオ(本社:東京都中央区)。
北海道,東北,関東,甲信越,北陸,東海,近畿を営業地域としていますが,
グループ会社を含めると九州・沖縄を含め全国を網羅しています。
従業員数は7208人(2022年3月)。
1923年に設立した三星堂と1949年設立のクラヤ,東京医薬品が合併して
2000年4月に株式会社クラヤ三星堂が発足。その4年後の2004年4月に地方の
医薬品卸と業務提携するなどして「メディセオグループ」を発足させ,
同年10月に「メディセオホールディング」,2005年にはパルタックとの
経営統合により,「
メディセオ・パルタックス」に商号変更しました。
メディセオは,「メディセオグループの中核」と言えます。
ちなみに社名のMEDICEOは,ラテン語のmedico(医薬を用いる,治療する),
medi(中心の,中央の),Dice(正義の女神),eo(動く,進む)からきています。
各社とも,地域卸などと合併や業務提携を行い特に東日本大震災以降は
全国に流通ネットワークを広げ,万が一大規模震災などが起こった際も,
必要な医薬品を供給できる体制の構築をすすめています。
その他:4大卸のほか,
ほくやく竹山HD,バイタルケーエスケーHD,岩渕薬品,
などいわゆる地場の医薬品卸の存在も医薬品の供給に欠かせない役割を
果たしています。