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<どーせなら、覚えちゃお!UP DATE>
Q:オーファン・ドラッグって、何ですか?

2024年5月16日

A:
 オーファン・ドラッグとは、難病などの希少疾病用の“医療上の必要性が高いにもか
かわらず、患者数が少なく、治療法が確立されていない疾病のための医薬品”のことで
す。オーファン・ドラッグについては、医薬品医療機器等法に規定されており、厚生労
働省は研究開発のための資金の確保、税制上の優遇措置、研究開発に関する指導・助言
を行うことが義務付けられています。

<さらにくわしく>
 医薬品の研究開発には、長い年月と膨大な費用がかかるため、医薬品企業等としては
医薬品の研究開発費を回収するためにも、患者数が多いことなど需要が高い疾病に偏り
がちで、希少疾病に対する医薬品の研究開発は進んでいませんでした。このため厚生労
働省は、難病などの希少疾病に対して、1979年に新薬研究開発事業を開始し、1985年
には承認審査の簡素化、さらに1993年の医薬品医療機器等法(旧薬事法)の改正によっ
て、オーファン・ドラッグに対する本格的な公的研究開発援助制度がスタートしました。
  
 オーファン・ドラックの指定を受けるには、①対象患者数が国内で5万人に達しない
こと(指定難病の場合は、難病法に規定する人数:人口の概ね千分の1程度)②治療方
法がなく、既存の医薬品と比較して著しく高い有効性・安全性が期待され、医療上の必
要性が高いこと③対象疾病に対してその医薬品等を使用する理論的根拠があり、開発計
画が妥当と認められること-を要件としています。

 オーファン・ドラッグ指定までの手順は、医薬品企業等は厚労省への指定相談を経て、
資料を添付して指定申請を行い、厚労省から医薬品機構に資料が送付され、機構の審査
の結果を受けて厚労大臣が薬事・食品衛生審議会に諮問、答申を得て指定されます。

 オーファン・ドラッグに指定されると、優先的な治験相談・優先審査や申請手数料が
減額されるほか、試験研究費への助成金(試験研究の直接経費の2分の1相当額上限)、
税制上の優遇措置が受けられます。

 今回は、希少疾病用医薬品について説明しましたが、希少疾病用の医療機器、希少
疾病用の再生医療等製品も同様の仕組みです。
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