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診療報酬というのは,私たちが医療機関を受診した際に,医師などによる医療行為,
医療サービスに対して支払われる対価で,1点10円です。医療行為は診療報酬点数表
に初診料,検査料,注射料,医学管理料,入院料など細かく点数化されており,受診
ごとの診療行為の合計点数が医療費となります。患者は医療費の3割(小児は無料,
前期高齢者は2~3割,後期高齢者は1~2割)を窓口で支払い,残りは加入している
医療保険制度から支払われます。
そして,この診療報酬の点数を見直すことを診療報酬改定と言います。ちなみに診療
報酬点数表の見直しを行うのは,厚生労働大臣の諮問を受けた中央社会保険医療協議会
(中医協)です。
診療報酬が現在のように,2年に1回,定期的に行われるようになったのは1988年
(昭和63年)から。それまでは年に2回の改定や,毎年改定ということもありました。
診療報酬改定と薬価改定が同時期に実施されるようになったのは1972年(昭和47年)
からで,これは同年1月22日に「薬価基準の引き下げによって生じる余裕は技術を
中心に上積みする」との中医協建議を受けたものです。
最近では,2年に1回が既定路線のように報道されていますが,過去には例えば,消
費税導入時や引き上げ時,医療機関経営の悪化,医療制度の見直しなど,その時々の状
況に応じて政治判断によって改定が行われたこともあります。
ちなみに,「医療サービスは公共性が高い」という政治的判断から,医療機関が医療
機器などを購入した場合に支払う消費税は患者(医療費)に転嫁できません。このため,
診療報酬の項目の中には消費税分を上乗せしているものもあります。しかし医療関係者
からは,上乗せ分だけでは消費税の影響を解消できないとして,医療サービスに消費税
を課税するように求める主張もあります。