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お酒にもリスク

2025年2月4日

寒い日が続きますが,天候は晴れの日が多く過ごしやすいこの頃です。
その一方で,昨年からの天候不順で野菜の出荷量が減少し,価格が高騰してしまっています。
夏に猛暑だったせいも大きいようですが,雨の少なさは一般家庭にも影響を及ぼしますね。

昨年秋ごろからですが,我が家で急に日本酒ブームが起こり,すっかり晩酌の習慣が根付いています。
季節の限定酒を求めて少し遠い酒屋さんに遠征したりと,入手の過程も楽しむように。

2024年12月5日にユネスコ無形文化遺産に登録された,日本の「伝統的酒造り」(※)。
(※日本酒だけでなく焼酎,泡盛,みりんなどを含みます)
これまで詳しくなかったのですが,国内では“日本酒離れ”が進んでいると言われているものの,
特定の酒蔵,特に有名銘柄の日本酒の人気はすさまじく,到底通常の方法では購入できないのですね…!
人気のお酒は,購入権が抽選だったり,購入実績によるポイントが必要だったりと,
新参の日本酒ファンとしてはなかなか手に入りません。

それもそのはず,日本酒も進化しており,革新的な取り組みを積極的に行う酒蔵も目立ってきています。
生酛造りという昔ながらの方法に回帰したり,オリジナルで酒米を開発したりと,工夫も味わいも
様々で目が離せません。
さらに,最近は味もフルーティーで甘ずっぱく,いわゆる「端麗辛口」より飲みやすいものが増えており,
女性や海外勢の人気も高いようで。

そんなわけでお酒が進むこの頃ですが,気になるのは健康への影響です。
厚生労働省が昨年2月に発表した「健康に配慮した飲酒に関するガイドライン」によると,
飲酒量が少ないほど,飲酒によるリスクは少なくなる」ことが示されています。
一見,真新しくはない内容と思われるかもしれませんが,従来のものと比べて2つ注目点が。

・飲酒量の指標を純アルコール量(グラム単位)とし,疾病別の発症リスクと飲酒量を表記
・「節度ある適度な飲酒」の指標の不使用

(下は「健康に配慮した飲酒に関するガイドライン」掲載の「我が国における疾病別の発症リスクと
 飲酒量(純アルコール量)」の表です)

この表によると,「少しでも飲酒をするとリスクが上がると考えられる」疾患も多いですね。
従来あった,「まったくお酒を飲まない人と比べて,少量の飲酒をする人のほうが死亡率が低いという研究」
(Jカーブと呼ばれます)は最新の研究では否定的なものも多く,前述の「飲酒量が少ないほど,飲酒による
リスクは少なくなる」というメッセージにつながったようです。
個人によっても,疾患によっても飲酒によるリスクは異なり,安全圏の飲酒量というようなものはない,
ということなのですね…。

比較的アルコール度数の高いものが多い日本酒。
もともと,それほど量は飲んでいないこともあり,急に減らすというのは難しいですが,これからは,
どんなにおいしい日本酒を手に入れたとしても,積極的に休肝日を作っていこうと思います!

(す)
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