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イグ・ノーベル賞で新治療法?

2024年11月12日

10月まで暑い日も多かったものの,ようやく秋が深まってきましたね。
夜は冷える日も増え,暖かいグッズを常備して過ごしています。

昨年のブログでも記事にしましたが,この時期発表されるイグ・ノーベル賞,
毎年気にして見守っています。

※イグ・ノーベル賞
 1991年に創設された,「人々を笑わせ,そして考えさせてくれる研究」
 に与えられる賞で,"表のノーベル賞"に対して"裏ノーベル賞"とも言われています。
 日本の「カラオケ」や「たまごっち」,「バウリンガル」といった商品でも受賞。
 日本はイギリスと並び,受賞常連国で,
 創設者によれば,
 「多くの国が奇人・変人を蔑視するなかで,日本とイギリスは誇りにする風潮がある」
 という共通点があるのだとか……。
 
去る9月13日,第34回のイグ・ノーベル賞受賞式が行われました。
受賞者の中には,今年も日本人メンバーが! 2007年から18年連続での日本人入賞となります。
「生理学賞」として,東京医科歯科大学・大阪大学の武部貴則教授らによる
「多くの哺乳類にお尻から呼吸する能力があることを発見した研究」が評価されました。
(NHK NEWSWEB「イグ・ノーベル賞 18年連続日本人が受賞 ブタはお尻からも呼吸
より画像をお借りしました)

こちらの研究では,
“肺による呼吸が難しい状態になったブタなどの動物の腸に、
高い濃度の酸素を含んだ特殊な液体をお尻から送り込む”
実験の結果,腸を経由した呼吸法(腸換気法)が哺乳類で実証されました。

お尻からの呼吸で,肺の機能を完全に肩代わりするのは難しいようなのですが,
呼吸不全に対する新しい治療法につながる研究となりました。
肺機能が低下した患者に腸経由で酸素を補い,症状を緩和することを目指して,
すでに臨床試験が開始されています。
遅くとも4年後の2028年には医療機器としての実用化を目指したいとのことです。

武部教授は,受賞スピーチの後NHKの取材に対し,
「皆さん『お尻』と聞くとちょっとおもしろい話題のように感じると思いますが、
 いつもとは違って医療の新たな可能性を感じてもらえればうれしい」
と語っていますが,まさに興味を引くだけでなく画期的な発見ですね!

最近では,ユニークな視点で評価された研究が実用化されるケースも多く,
その有用性に対する注目も高まっているように思います。
来年はどんな研究が受賞するのか,今から楽しみです!

(す)
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