秋らしくなってきたと思ったら,また暑くなったりと安定しない気候のこの頃ですね。
昨年のブログでも記事にしましたが,この時期発表されるイグ・ノーベル賞,
毎年気にして見守っています。
※イグ・ノーベル賞
1991年に創設された,「人々を笑わせ,そして考えさせてくれる研究」
に与えられる賞で,"表のノーベル賞"に対して"裏ノーベル賞"とも言われています。
日本の「カラオケ」や「たまごっち」,「バウリンガル」といった商品でも受賞。
日本はイギリスと並び,受賞常連国で,
創設者によれば,
「多くの国が奇人・変人を蔑視するなかで,日本とイギリスは誇りにする風潮がある」
という共通点があるのだとか……。
そして今月16日行われた,第32回のイグ・ノーベル賞受賞式。
受賞者の中には,今年も日本人メンバーが!
2007年から16年連続での日本人入賞となります。
工学賞として,松崎元・千葉工大教授ほか4名の
「
円柱形つまみの回転操作における指の使用本数について」の研究が評価されました。
「
今年も侮れないイグノーベル賞と、社会実装されそうな2つの研究」(ニューズウィーク日本版)より
ふだん無意識で行っている,水道の蛇口を開いたり,ペットボトルを開けたりといった,
指で「つまむ」動作。
このとき「ふた」「取っ手」「つまみ」等の大きさによって,人は使う指の数を変えています。
具体的には,円柱の直径が10~11mmくらいになると,使用する指は2本から3本に変わるとのこと。
また,3本から4本への変化は直径23~26mm,4本から5本への変化は直径45~50mmで起こるそうです。
言われてみると確かに,直径の大きさで使う指の本数を変えてつまんでいる気がしますが,
この研究によって共通の傾向が確かめられたことは大きいですね。
これにより,製品のつまみの大きさや形状のデザインに根拠ができ,
さらに使いやすいものになっていくかもしれませんね。
その他の研究では,医学賞を受賞した
「
化学療法を行う際アイスクリームを使用すると副作用が減少することの証明」
が気になりました。
「
2022年イグノーベル賞が発表! 今年注目された10の奇抜な研究とは?」(ナゾロジー)より
高い濃度の化学療法においては,口腔粘膜炎が最も頻繁に起きる副作用の一つです。
これを防ぐ,従来の凍結療法で用いられているアイスチップを「アイスクリーム」に変えた場合にも,
同じような効果があるかを確かめた研究が受賞となりました。
研究によると,アイスクリームを用いた凍結療法を行った患者では28.95%が
口腔粘膜炎を発症しましたが,凍結療法を受けなかった患者は59%で発症したとのこと。
アイスクリームの冷たさが口腔粘膜の血管を収縮させることで炎症を防いでくれ,
毒性の強い治療薬との接触を減らせるのですね。
栄養価が高く,飲み込みやすいアイスクリームは,医療や介護の現場でとても重宝されています。
さらに化学療法でも有用とは,ますますアイスクリームの価値が高まりますね。
来年はどんな研究が受賞するのか,今から楽しみです!
(す)