2018年8月より2年半にわたって掲載してまいりました
「新薬と臨牀」の連載
「
がんサポーティブケアのいま・これから」は来月発行の3月号(3月10日発行)で
一旦終了することとなりました。
これまでお読みくださいまして、ありがとうございました。
さて、最終回は
「MRI検査『ドゥイブス法』─その可能性と今後の展望─」と題し、
MRIを使った新しいがん検査である「ドゥイブス(DWIBS)法」について、
同法を研究・開発された東海大学工学部 医用生体工学科の
高原太郎先生にご解説をいただいております。
ドゥイブス法とは、MRIを使用して、がんや、その転移の有無を見つける
新しい全身検査法のこと。
全身のがん検査にはPET-CTがありますが、PET-CTに比べドゥイブス検査の利点は、
被曝がないこと、
検査費用が安価であること、
食事制限や造影剤投与などの必要がないこと
などが挙げられ、画期的な検査法としていま注目を集めています。
そのメカニズムゆえ、心臓や消化器系の病変検出が困難とされているなど
不得意な領域もあるようですが、
すでにがんの診断や治療効果の判定方法として活用されており
今後のさらなる発展が期待されています(詳細は3月号で!)。
さて、このドゥイブス法を乳がん検査用に応用し、乳房検査に特化させた
「
ドゥイブス・サーチ」という乳がん検査が、現在一部の施設で実施されており
こちらも気になるところです(
https://www.dwibs-search.com/)。
このドゥイブス・サーチのメリットは「
検査着を着たままで受けられる」ということ。
また、うつぶせになってMRI装置に入るだけでよいので、
触られることも挟まれることもありません。
マンモグラフィ検査でしばしば問題となる被曝の心配も、検査時の痛みもないとなれば、
乳がん検診に対するハードルはかなり下がるのではないでしょうか。
日本の乳がん・子宮頸がん検診の受診率は40%台と、先進国の中ではかなり低いことが
いわれています。ドゥイブス・サーチを受けられる施設は全国で23施設と
まだまだ少ないのが現状ですが、こうした技術が広く普及し
がん検診の裾野がより広がるようになればいいなと思います。
(あ)