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性差医療を考える

2020年4月21日

今月10日発行の『新薬と臨牀』4月号では「性差医学・医療を考える」と題した特集を掲載しております。
世の中の様々な物に「男性用」と「女性用」とがあるように,現在では医療においても男性・女性といった
「性差」に考慮した医療や研究が進められてきています。

この性差医学・医療の概念は1980年代後半にはじめて米国で提唱されましたが,
日本で言われるようになったのは,それから10年が経った1990年のこと。
今からたった20年ほど前のことです。

それまでは,妊娠の可能性があるなどとの理由から,女性は薬の治験を含む臨床研究の対象外とされ
非生殖系臓器における様々な医療・医学研究は,男性のみを対象にして行われてきました。

こうして「女性は男性と同じであろう」という見込みのままに進められてきた医療ですが,
実際には男性と女性との間には罹りやすさに大きな差のある疾患(痛風、うつ病、自己免疫疾患など)が
あることや,発症率は同じでも経過に差がある疾患(心筋梗塞など)があることがわかってきており,
今では医学・医療の領域において性差は無視できないものとなっています。

…ということで本連載では,日本で初めて「性差医療」の概念を提唱され,
性差医学・医療研究の第一人者でおられる一般財団法人野中東晧会 静風荘病院の天野惠子先生に
性差医学・医療の歴史や概要についてご執筆をいただいております。

また,日本循環器学会発行の「循環器領域における性差医療に関するガイドライン」の作成に携わられた
東北大学大学院医学系研究科 循環器内科学の下川宏明先生には循環器疾患と性差について,
さらに,女性とメンタルヘルスの問題に深い造詣をお持ちの国際医療福祉大学三田病院 精神科の
平島奈津子先生にはうつ病の性差についてご執筆をいただきました。

とても興味深い内容となっていますので,ぜひご一読いただけましたら幸いです。

(あ)
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