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バイオシミラー

2019年7月25日

先週,第5回 バイオシミラーフォーラム(主催:バイオシミラー協議会)に行ってきました。
バイオシミラー!? 「bio+similar」,バイオ医薬品の後発品のことです。

念のための解説としまして・・・
バイオ医薬品は,細胞や微生物を使ってつくる医薬品で,
わが国で承認されている製剤はインスリン グラルギンやインフリキシマブ,
ニボルマブ(オプジーボⓇ)などがあります。
バイオ医薬品は,これまでの医薬品(化学合成医薬品)と比べ,
開発や製造,品質の管理に高度な技術や設備が必要になるため,
結果として,価格が高くなる傾向にあります。

そのため,関節リウマチなど長期にわたって治療を必要とする疾患では,
バイオ医薬品の使用は経済的な負担が大きく,生活費を削って治療費を工面したり,
治療経過が良好であっても他剤への変更を余儀なくされる患者さんもいるそうです。
(7月23日の社員ブログ「こんなところでも格差社会」でも触れられていましたが,
ここにも医療格差はありました。https://www.iyaku.info/column/?id=1563531964-255506&ca=1

そこで,バイオ医薬品の後発品=バイオシミラーです。
バイオシミラーは,先行バイオ医薬品に比べると価格が約6~7割程度に抑えられるため,
経済的負担を軽減できます。

ここで,バイオシミラーもジェネリックじゃないの!? と,ふと疑問が。
実は,化学合成医薬品の後発品とバイオ医薬品の後発品の定義は若干異なります。
ジェネリック医薬品が,先発医薬品と“同じ有効成分”“同じ量”であるのに対し,
バイオシミラーは,先行バイオ医薬品と“ほぼ同じ有効成分”“同じ量”と,定義されています。
この“ほぼ”がミソです。
バイオシミラーは,先行バイオ医薬品と有効成分であるタンパク質の基本構造は同じなのですが,
タンパク質は非常に複雑な構造をしているため,
すべて同じ構造のものを製造することは難しいそうです・・・なので“similar”なんですね。

さて,今回のフォーラムに登壇された方々が口々に話されていたのは,
「バイオシミラー」の周知不足ということでした。
この周知不足は,一般の方に限らず,レベルは違えど医師にもあてはまり,
患者さんの治療選択肢を狭めてしまっているようです。

先行バイオ医薬品,バイオシミラーには,それぞれメリット・デメリットがあり,
一概にどちらが良いとは言えませんが,バイオシミラーの認知度が高まり,
治療の選択肢が増えることで,患者さん自身が納得できる治療法を選べることが
理想的だな~と思いながら会場を後にしました。

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