いつも笑顔で素敵な人と,
いつもニヤけて気持ち悪い人,嘘っぽい人。
その印象,気のせいではないようです。
仲の良い友達に会って自然に出る笑顔と,
カメラを向けられた時に作られる笑顔は,
それぞれ扱う脳の領域が違うからです。
仲の良い友達に会うと,
その視覚情報が大脳辺縁系(古い脳)に伝わり,
続いて大脳基底核(高次脳と低次脳の間にある脳)に中継されて,
自然な笑顔をつくるために必要な,
顔の筋肉の活動がまとめられます。
この回路が活性化されると,
自然な笑顔が作り出されます。
そこに皮質(高次脳)は関与していません。
なお,この回路の流れは作動するとすぐに終了するため,
笑顔を持続させることはできません。
一方,「はい,チーズ!」と言われたときは,
聴覚や言語中枢など高次な脳に理解されて,
随意運動(自分の意志に基づく運動)により,
笑顔を作るのに必要な筋肉を動かそうとします。
この笑顔というのがくせ者で,
多くの筋肉の微妙で複雑な協調によってつくられる芸当なため,
随意運動でうまいこと作れるものではないらしい。
だから,笑顔が嘘っぽくなる,と。
いや,むしろ笑顔ではない,
笑顔に似せた顔面筋の運動ですね。
となると,スマホを見ながらニタニタしている人は,
気持ち悪いですが,
あれは本物の笑顔ということになりますね。
ただシチュエーションが気持ち悪く見せているだけで。
これ,鏡の前でにっこりしても,
”笑顔に似せた顔面筋の運動” になります。
今度時間があるとき,自分のキモい笑顔を見てみませんか。
(さ)